2012年5月4日金曜日

もっと健康な肉を食べたい|食のおはなし|こどもたちのために|トータス株式会社


マナメッセ3号(1992年7月1日発行)より抜粋

クスリ漬けの豚
超過密に飼われているヒステリックな鶏
ホルモン剤で性別不明になった牛

私たちの食べている肉は病んでいる

「マナメッセ」創刊号では食品添加物の怖さを特集しました。それなら添加物の少ないものを、そざいを手作りして食卓へ......。とは誰でも考えることですが、すでに汚染されているという残念な報告を、この号ではしなければならないのです。

レポート/工藤和子
撮影/外川孝 奥谷仁 永嶋康利

薬づけ・過密飼いの不健康な肉を食べて私たちの体は大丈夫なのでしょうか?

小暮一雄獣医師が明かす恐るべき日本の肉事情

豚は病気になりやすいといいますが、その肉はどう扱われているのでしょう。鶏肉も牛肉も薬やホルモン剤の残留はちゃんとチェックされているのでしょうか。日本の畜産の現状について確かなデータに基づく話を小暮医師に聞きました。

小暮一雄医学博士、42歳。日本獣医畜産大学卒。現在所沢愛犬病院医院長。楽品メーカーおよび畜産業界に関連した仕事で生計をたてるために実態を告発しにくい獣医師たちの中で「食」の安全性を憂え、意欲的にその改善を目指す貴重な存在。

屠殺する豚の約7割が病気豚"一部廃棄"の肉も市場に出る

− 畜産の実態は、部外者がいくら現場取材してもよく分かりません。厚生省の食品衛生法では、抗生物質や合成抗菌剤は残留してはならないことになっていて(ホルモン剤は基準値なし)、屠殺場では病気のものは、ハネられているのだから市場で売られている肉は安心ですと、どこもガードが固いんです。私たちが食べている肉類は本当に安全なのでしょうか。

小暮 そこが問題です。屠殺場で病気豚を見つける検査官は獣医師などの資格を持つもので、検査は一体ずつ固体検査が行われ、注射跡があるものは抗生物質検査をします。また特定の伝染病などにかかっているものは全廃棄のほか7割弱部分廃棄のものが出る。それらの総数が約7割以上。部分廃棄される患部以外の肉は市場へ出ます。(DATA1参照)


DATA1 病気の豚が、なぜこんなに多いのか?

屠殺場で全部捨てられる豚と、患部の一部だけ捨てられる病気豚の数は、なんと7割にものぼる!こんなに病気豚が多いのは過密飼いの悪条件からか。薬もいっぱい使われているはずだ...。(平成2年「家畜衛生統計」より抜粋)

屠場で廃棄される病気豚

禁止〜人間に伝染する恐れのある病気を持った豚は屠殺禁止となる。

− それらは当然薬が使われているはずですよね。肉に残留していないのですか。

小暮 ところがそれを検査するのは屠殺場法による検査官ではなく、食品衛生法による監視員の抜き取り検査なんです。東京都の場合は屠場で両方の資格を持つ者がやっているのですが、他県では別です。跡でその実態については詳しく触れますが...、お粗末なものです。

− 全廃棄されるのや、部分廃棄のものなど、いったい豚にはどんな病気が多いのですか?

小暮 全廃棄されるのは、肺炎、肺結核、豚赤痢、敗血症、脳炎、鼻そ、脳毒症、豚パラチフス、豚コレラ、尿毒症、伝染性胃腸炎、オーエスキー病などが感染症ですが、部分廃棄はその法規程8条によると、化膿性又はえそ性皮膚炎のある部分、外傷の部分、腱又は臓器の炎症のあるもの、著しい畸形の部分、炎性により汚染した部分、腫痕の部分−(略)臓器の萎縮した部分、結核にかかりその病的変状が臓器およびリンパ節に局限しているときなど、なっています。

− 胃かいようや、結核にかかっていても、その患部と隣接したところだけ捨てるのですね。やはり気持ち悪いですね。

小暮 それよりまず、日本の畜産でどれほど多くの薬が使われているか、知ってもらいたいと思います。(DATA2参照)

DATA2 動物用のクスリは獣医でなくても勝手に使える

獣医用の薬は、薬事法で獣医の処方箋のもとで購入、使わなければならないが、現状では、抗生物質その他の薬品メーカーから、はんこ1つで養豚家に売られ、乱用されている。

動物用医薬品(医薬部外品)販売高

豚コレラやオーエスキー病予防のために使われる生ワクチン。

− 獣医師用は17億円程度なのに、その他のトータルが805億円にもなってますが(平成2年)、その意味は?

小暮 病気豚の多くは日和見感染症といって、過密飼いのストレスから体力が弱くなったり菌が入りやすい状態になって病気にかかるんです。この薬の量の大半はその病気予防のために、事前に投与されるものが多い。抗生物質などは人間と同じ薬事法により獣医の処方箋がなければ買えないことになっているんですが、これが野放しの状態で出回っているのが現状です。

獣医の処方箋はかたちだけ 抗生物質使用は野放し

小暮 獣医師の処方箋とはかたちだけで、薬品メーカーのところには獣医師のはんこが用意されていたり、診察もしないで獣医師から指示書が発行されるケースなどが、かなりある。その実態"動物用医薬品等に関する行政監察局の調査報告書"に、非常に具体的に出ています。養豚農家にはどこも注射器があって、自分で勝手に抗生物質など打ってまして、1tも抗生物質を購入した畜産家のケースも知ってます。

− 抗生物質は、使いすぎると怖いそうですが。


ホロコーストの生存者の罪悪感

小暮 抗生物質は確かに最初よく効いて、細菌を殺すんですが、やがて菌の中に抗生物質に抵抗力を持つ耐性菌が出てきて、効かなくなります。1985年にロサンゼルスでハンバーグによる中毒事件がおきてますが、これは抗生物質による耐性のサルモネラ菌がはびこって発生したものです。またアメリカではペットフードを食べた幼女が死亡したケースがあります。(1989年、アメリカの心臓病学界誌vol63による)

− ペットフードの肉でですか?

小暮 ペットフードには病死肉が使われていることが多い。この事件は、1g中3マイクログラムの抗生物質が残留していて、この子はペニシリンショックの過敏性心筋炎を起こしてしまったのです。

− 若者の中にはペットフードをおつまみにする人もいると聞きますが、やめなくてはいけませんね。抗生物質の残留が怖いのは、個人差でそういうアレルギーを起こす人がいたり、人体に蓄積されていくと、抗生物質がイザというときに効かなくなることだといいますね。

小暮 そうです。アメリカは抗生物質もホルモン剤の残留も微量認めている。輸入牛肉が増えてますが、気になるところです。

ピルのようなホルモン剤で雄牛を女性化し肥育させる

− 輸入牛といえば、EC諸国はアメリカからの輸入牛肉のホルモン剤が問題になり、輸入禁止にしていますね。幼女の胸のふくらんだり、幼い男の子にヒゲが生えてきたとか。ホルモン剤について詳しく教えてください。

小暮 動物はだいたいオスメス1対1の割合で生まれますが、雄牛は筋肉が硬く、睾丸からのにおいもついて肉牛に向きません。それで肉牛にするために去勢する。これは畜産では常識になっています。さらに女性ホルモンを耳に埋め込むと、お尻もまるくなり脂肪がついて体重がグンと増えるんですね。去勢しただけで1日の体重増加率が1100gから1300gになり、ホルモン剤で1500gにもなる計算です。

牛の耳に埋め込まれる女性ホルモン。ピルと同じような成分だ。

− 安全とされるホルモン剤でも、量によっては、さっきの幼児の性微現象とかが現れるわけだし、子供によっては肥満原因になると聞いたことがあります。

小暮 牛に使われるホルモン剤のグラム数200mgというのはすごい量ですよ。すぐ血中濃度には出ないにしろ、普通天然の女性ホルモンは5〜7ngしかないのに比べれば、よく分かります。これに含まれるプロゲステロンとは黄体ホルモンで、エストラジオールは卵胞ホルモン。この両方は不妊薬のピルにも使われているものですが。

− ピルには副作用があると言われていますね。

小暮 ピルの安全性も確立されていないから、認可してない国があるわけで、ガンになる疑いもあるといわれてますよね。WHO(世界保健機構)が一応安全とする基準も、政治経済的な力が関与していることをもっと多くの人は知るべきです。僕はその安全基準が正しいかどうかは、その専門家でないので言うつもりはありませんが、人間の食の安全性を考えた場合、疑わしいものは使用を避けるべきだろうとは思いますね。

小暮獣医にインタビューする工藤和子レポーター。お話は4時間以上にもおよんだ。

− 食品添加物も一応安全基準があっても、それが他の化学物質と体内でどんな反応をするのか、何代も先の子孫にどんな結果をもたらすのか分からないのと同じで...。

小暮 まったくそうです。それに安全な量というのは、決してマスでは測れない。個人差でどんな微量でもアドバースリアクション(好ましくない作用、副作用)を起こす可能性がある。一人ひとりの生命体は違うんです。

食肉衛生検査所の抜き取り検査率は、たったの0.04%

− 日本の畜産は輸入飼料に頼っていて、その残留農薬も不安です。薬などは出荷前一定期間使用規制するような行政指導さえrているらしいのですが、それが守られているかどうかは残留検査でしか分かりませんね。

小暮 その検査体制そのものがお粗末なんです。この表は抗菌性の薬の検査実態ですが(DATA3参照)、そのほかの検査もほぼこれと同じ状況だと思います。各地にある食肉衛生検査所の人員数が少なくて、抜き取り検査もこれぐらいしか手が回らないのが現状です。

DATA3 肉の安全の検査率はこんなに低い!

検査率たった0.4%で、その5.5%に抗菌性物質が検出されているから全部調べればかなりの数になる。総務省・行政監察局編「動物用医薬品、飼料及び農薬の安全使用等の確保を目指して」と題した調査報告書より。

食肉衛生検所等における抗菌性物質の残留検査の実施状況

− 輸入食品の抜き取り検査も同じようなものですね。あの有毒物入りワインですら書類審査だけでパスしたあとに発見されたんですから。

小暮 抜き取り検査の人員が整っていない。東京都のように屠殺場で一体一体検査する獣医などの資格者に、食品衛生検査員の資格と両方持たせれば、まだ目が行き届くのではないかと思います。屠殺場で扱うのは牛と豚ですが、にわとりなどの食鳥肉に関してはまた別で、この92年4月から新たな食鳥検査法が実施されることになりました。東南アジアからの鶏肉輸入に関連して改められたものではないかと思います。

− にわとりと豚と牛のなかで、どれが一番危ないと思われますか?


"積極的な良い結果は、にきびのためのものです。"

小暮 にわとりは利幅も少ないし、薬にかけているお金はそれほど多くはないのではないでしょうか。ただ夏は特に病気が多く抗菌剤が欠かせない。またにわとりの卵は糞と同じところから出て菌がつくので、卵は食器に入れて出さないほうがいい。豚は薬づけで飼っているケースが多いし、一番高価額の牛はたとえば尿毒症にかかっていると、1日20万もする透析をする。長生きさせるためではなく、そうすると1日だけは血中の毒素数値が屠殺場の検査をクリアできるようになる。全廃棄処分になって数百万損するよりは、ずっといいというわけですよ。こういうのは獣医の治療の悪用です。だからどの肉が一番危ないとは、一概に言えないんですよね。

人工授精やDNA操作は常識 それが人間に応用される!?

小暮 先日人間の顕微鏡受精が成功して、その是非がマスコミで話題になってましたが、畜産ではもう人工授精もDNA操作もすでに常識的にやられていることです。優秀な、つまり人間にとって生産効率がよく都合がいいものだけを選んで、1頭の牛から何十頭も同じような牛をつくることができるようになってます。たとえば過剰排卵処理をすると、人間でも5つ子が生まれる。それらを採卵し、対外で優秀な精子を与えて受精卵にし、肉牛でなく乳牛用のホルスタインの体に移植する。借り腹ですね、そうすると一生に5、6頭しか産めない牛が、同時期にたくさん産まれることになり、乳牛も乳が出る。(DATA4参照)

DATA4 人間社会で論議されている人工受精は、食の世界では当たり前

食料増産のため、畜産業の発展のため、人工授精により品種改良がされてきた畜産の現状だが、生命操作のその問題は、人間の場合と同じく、エスカレートするのが怖い。その技術はもう、人間に応用されている。

− 畜産でやられてきた実績が、人間に応用されているということですか?

小暮 そういってさしつかえないと思います。私がそこで問題にしたいのは、今国会で審議中なのですが、「家畜改良増殖法」に基づいて獣医でない者が、"家畜人工授精師"として認められようとしていることです。すでにその協会ができていて、それが産業になっている。そうなると動物たちの生理を無視しても、どんどん生命操作がエスカレートして、歯止めがきかなくなっていく気がします。獣医師は本来、動物のためと人間のために貢献する任務がある。本来人と動物が共存してその恵みをもらう畜産のあり方が、無理に効率を追求してさらに安全性もおかしくなっていく...。

− はんこだけで薬の乱売を許す獣医さんも問題だと思いますね。

小暮 それはね、獣医師が畜産農家と薬品メーカーの関連の中でしか生計が立てられないようになっているから、起きることなんです。僕は犬猫で食べていけるから、こんな畜産業界の内部事情がしゃべれますが。畜産の理念に燃えて挫折した親父、理想いっぱいで獣医になった後輩たちがズタズタになっていった無念を、僕は何とかしたいのです。

食肉の安全のため、畜産の健康保険制度と法改正を!

小暮 家畜の治療費はお話にならないくらい安い。過密飼いするなとか、薬を使いすぎるなと言ってると、どこからもお呼びがなくなるのです。食肉の安先生確保のためには、まず今の検査体制がきちんとやれること。もう一つの提案は、国や自治体などが畜産の健康保険制度のようなものをつくって、獣医師の診療費はそこから出し、動物の健康維持に努め、薬の購入は厳しくすること。そして獣医師法では、"畜産業の発展を図り"となっているが、ぜひ業なしに改正したいですね。


より安心な肉類を求めて、私たちの家庭に身近なところの肉類を調べてみました

工藤和子の現場報告

「輸入牛肉」は大丈夫?

スーパーダイエーの取り組み

アメリカのカンザス州にあるダイエーの契約牧場。広々しして、牧草や穀物が豊富にとれる地帯なので、牛はそれをすぐに食べられる。だから飼料のホストハーベスト(収穫後)農薬については不安は少ない、という説明は、説得力がある。

安全チェックが行われる"品質管理センター"。抗生物質、抗菌剤のほか、残留農薬ではDDT、ディルドリン、ヘプタクロルが検査項目に入っている。

92年4月から自由化で安い輸入牛肉がどっと出回っていますが、安全性に懐疑的な人もまだまだ多いのでは。アメリカの農薬基準の緩さや、輸入食品に対する日本側のチェック機能への不信感...etc。でも育ちざかりの子どもを持つ家庭に肉料理はかかせない。だから近所のスーパーに、どんな肉が並んでいるかはとても気になるところです。大手スーパー、ダイエーの食肉部・森啓祐部長によると、「うちでは一昨年からアメリカのカンザス州にある契約牧場で、特別に飼育してもらった牛肉をチルドで直輸入しています。国の検査以外にも、うち独自の検査室を設けて、抗生物質、合成抗菌剤の薬物や、牧草などの飼料の残留農薬が含まれていないかを常に検査しています」とのこと。

肉質のよりアンガス種の牛を、アメリカのものより長期間、現地の穀物飼料をたっぷり与え独自に検査し、軟らかく肥育しているのがセールスポイントです。

「ホルモン剤については、雄牛の肉は硬いので、去勢して軟らかい肉にするために、どこでも使っていますよ。これは天然の女性ホルモンなので、安全とされているんです」

たしかに日本ではホルモン剤の安全基準はないけれど、ヨーロッパやアメリカのいくつかの州で反ホルモン剤運動が広がっていることも一応、私たちは知っていたいと思います。

ダイエーでは輸入牛に力を入れる一方、豚、にわとり、卵とも、国内の契約産地で、より高度な安全を追求した肉が店頭に登場し始めています。どうせなら、そちらのほうを積極的に選びたい。

牛肉の選び方


緑茶を飲むと体重減少

安さは魅力だけれど、輸入牛肉に手が出ないという理由のなかに、農薬や薬物問題のほかに肉の硬さがあったが、この点はだいぶん日本人向きに改善されてきたよう。

プライムというのは、22ヶ月以上飼育される、いわば特上肉。軟らかくてサシが入り、一見和牛と見分けがつかない。

チョイスは、16ヶ月飼育のいわば並肉。ステーキ用、439gで1275円がセールでは1000円に。この安さは確かに魅力に違いない。

黒毛和牛のロースうす切り。204gで1480円。輸入牛肉に比べるとたいぶ高いが、松坂牛などは36ヶ月も飼育させる。軟らか好みの和牛ファンも根強い。


ファミリーレストランやファーストフードの肉は大丈夫?

マクドナルドの場合

日本人の食文化を変えたとまでいわれるハンバーグやフライドポテト。子供から若者まで人気だが、これらだけ食べる食習慣は栄養の偏りも招くので、気をつけたい。

Qハンバーガーの原料肉とその調理法について教えてください。

Aうちのハンバーガーパティは、アメリカとオーストラリアの契約牧場で育てた輸入牛肉で、100%牛肉です。豚や羊、馬の肉とか植物たんぱく、添加物など一切入っておりません。ビデオを見てください。カタ肉とあばら肉の冷凍を日本工場でミンチにし、うち独特の圧縮フリーザー加工しています。

Qソーセージやチキンはどうでしょう。

Aソーセージも豚肉100%です。チキンもミンチを固めたのではなく鶏肉を型抜きし、衣をつけて揚げています。これらには香辛料や塩、いくらかの添加物は必要なようです。揚げる油は動物性油脂です。(家で揚げるのとは違ううまさは、この脂にあるのでしょうが、カロリーが多くなるはず。衣のついたフィッシュバーガーなどに添加物はけっこう多いというデータもある)

Qポストハーベスト農薬が心配ですが、ライスものも原料は輸入ですか。

A米や野菜は日本のです。なるべく現地調達を心がけ、ケチャップもそうです。


− 食材の安全問題から容器の環境関連問題まで、何かとヤリ玉にあげられる会社だけに、世論の流れには敏感のようです。素材肉についても100%牛肉!から100%安全!への流れをつくるために、私たちはもっとうるさいお客になるべきなのでしょう。

マクドナルド社が出している環境フリーペーパー「TODAY」。紙容器も森林保護の点から考えると、ハッポウ容器より良いかどうかなど、幅広い視点で考えていきたいとか。水の問題、ペーパーナプキンの小型化など、企業努力もアピールされている。

ロイヤルホストの場合

子供はファーストフードのお店が大好き。

ロイヤルホストは全国で402店に増えた。

Q肉料理の原料について教えてください。

Aわが社では、牛肉はアメリカから50%、カナダから45%、あとの5%はオーストラリアからの輸入牛肉で、これはオージービーフステーキフェアのときに出しています。

Qそのほかの肉類は?

A豚肉は国産ものですが、鶏肉はアメリカの最大手タイソン社のもので、ナゲット加工したのを入れてます。

Q(タイソン社は、以前アメリカで環境汚染で問題にあげられたことがある...)輸入肉の安全チェックはされていますか?

A国の検査をパスしたものですから、特にやっておりません。

Q以前、こちらのステーキ用の肉を成形加工するところをNHKのテレビで見たのですが、あれはクズ肉をまとめていらっしゃるのですか?

Aいいえ、違いますよ。形やグラム数がマチマチにならないようカット成形しているだけです。同じ値段で大小の違いがあるとお客様に納得いただけないと思うので。

Q油身もあとからつけられていましたが、何で接着しているのでしょう。

A食用のゼラチン質なので安心してください。

Qハンバーグの中にはどんな肉が?

A牛肉が多めの合びきです。その詳しい内容とソースなどについては、味の良さで評判になっているうちの企業秘密なので、ごかんべんください。

元気な鶏とはどういう鶏

会田養鶏組合の飼い方

北アルプスのふもとにある「たまご山ランド」

放し飼いのにわとりたちが、エサをもらいに集まってくる。過疎の村のこの有精卵と安全な鶏肉が、アレルギーに悩む都市消費者の注目の的に。

ゆったりしたケージ飼いは自家配合飼料で薬いらずとなるが、無精卵。値段と安全性の妥協点も、にわとりにとっては不自然を強いる。

新しいいのちが産まれる有精卵。大小さまざまなのは人間と同じ。ここの卵と鶏肉の入手は、らでぃっしゅぼーや。TEL03-5228-3333

自家配合飼料に使われる魚粉の山の前で。薬が入れられた大手飼料メーカーのものとは、配合が違う。体力づくりにニンニク、唐辛子、木酢、カキ殻、牧草もたっぷり。

長野県松本市からさらに北上したところにある四賀村の会田養鶏組合は、生協などにケージ飼いの良質の卵を出荷する一方で、4年前から「らでぃっしゅぼーや」(日本リサイクル運動市民の会)と提携し、放し飼い養鶏に取り組み、その鶏肉も出荷しています。

放し飼いのにわとりは、薬要らずで有精卵を産む


「たまごランド」と名づけられたその養鶏場に着くと、茶色いにわとりたちがいっせにカメラマン氏のほうへ駆け寄ってきた。金網ごしだが、クワックワッとそのさわがしいこと。私と編集部のFさんがあとにつづくと、なぜか私たち女性には興味がないらしく、知らんぷり。聞けば無理もない。茶色のにわとりは全部めんどりで、わずかに混じる白くてトサカの大きいのだけがおんどりという。

「毎日エサをやるのも男ですからね。(笑)このシェイバーブラウンという品種は、ふつうの白色レグホンより採卵率は少し低いが、丈夫でしてね。40羽のめんどりに3羽のおんどりがいればほぼ有精卵を産みます」と、案内してくれる松田定組合長。

ふつう食肉用は、ブロイラーの過密飼いで大人になる前に出荷される。そのほうが軟らかいからだ。採卵用養鶏は、1万〜100万羽ものめんどりが何段ものケージの中に入れられ、太陽も風も入らぬ鶏舎の中で自動装置においまくられエサを食べ卵を産むだけのロボット同然。いずれもストレス極まる生き地獄のような環境だから、病気になりやすく、病気予防のためにエサに薬を混ぜなければならないという。卵は当然、無精卵になります。

有精卵も無精卵も栄養分析的には何ら変わらないとされていますが、こうしてオスメスを見ると、有精卵が生まれる環境こそがにわとりたちにとって自然で、心身ともに健康になれる条件のように思えるし、有精卵はアレルギーも出にくいという臨床医のデータもでているのです。

ここでは野外だけで飼うのと、戸外に自由に出入りできる鶏舎と、もう一つ光と風の入る鶏舎での平飼いの3種類があり、全部で2万羽になる。鶏舎のにわとり1坪に15羽というからかなりの数。こちらのほうが産卵率はいいらしけれど、鶏舎の平飼いは、鶏糞が足についてコクシジウム病になりやすいとか。鶏舎の平飼いも薬はまったく使わなくても、大丈夫なのでしょうか?

「エサがよそと違うし、もう一つの秘密は鶏舎の床に有効微生物菌を混ぜたヌカやオガクズの敷料をたっぷり敷いてやることです。これが糞を半日くらいで分解し浄化作用があるんですね」とのこと。 その敷料は1年たつと新しく入れ替えられ、産卵期を過ぎたにわとりたちも食肉用として会員たちに引き取られ、ふたたび120日の雛が入ります。古い敷料は畑の堆肥として活用され、この村では有機農業も盛んになっているとか。

山を下りて、見上げるような設備でブレンドされる自家配合飼料づくりを見学。トウモロコシ、フスマ、米ヌカにも有効微生物菌を入れて醗酵させたものを主に、ビタミン、ミネラル豊富なエサは薬膳メニューのよう。

会田養鶏組合のケージ飼いは、オープン鶏舎で2段。ゆったりしているが、下に糞がこんもり積もってにおいが漂う。同じ自家配合飼料で薬いらずというが、首がこすれて羽の抜けた姿もあって、やはり痛々しい。

有精卵は1個40円。ここのケージの卵は20円以下。市販の10数円の卵からすれば、値段と安全性のギリギリの妥協点がこうなるということなのでしょう。

最近鶏肉は、名古屋コーチンやシャモなどと配合した"地鶏"というのが出ていますが、本当に運動させたのは身がしまり、脂肪も少ない。放し飼いの親鶏で、しかも産卵期を過ぎたここの鶏肉は硬い。しかしこれが昔の人の、卵をもらったあとのごちそうだったことも忘れたくないのです。


値段の高いヨード卵はいい卵?

にわとりのエサに海草などを与え卵にヨード(ヨウ素)を強化したものが、売れている。6個入りで、1個53円見当。赤卵なので有精卵と思っている人がいるが、これは品種でケージ飼いの無精卵。ヨード卵はコレステロールを低下したり、最近は抗アレルギー作用もあると実験データが出されている。卵アレルギーの人には朗報だが、ヨードは日常の食事からとれば十分という説もあり、過信は禁物。


話題の「SPF豚」を知っていますか

シムコ、伊藤忠飼料・畜産事業部の新事業

バイオ技術を駆使した受精卵を注入される豚。畜産で人工受精はもう常識のことだが、豚たちはこんな受精を望んでいるだろうか?

出産時の病原菌感染を防ぐため、帝王切開で切り出される子豚たち。

伊藤忠食肉部ではSPF豚肉を望む消費者に宅急便サービスも。各種セットで1.2kg4000円見当。問合せ03-5626-3238

"刺し身で食べられる豚肉""軟らかくて豚肉の臭みがない"など、今話題になっているSPF豚とは、Specific(特定の)Pathogen(病原体が)Free(ない)豚の略称です。つまり豚の代表的な病原菌(トキソプラズマ感染症、マイコプラズマ肺炎、萎縮性鼻炎、オーエスキー病)などを持ってないため、抗生物質や抗菌剤なども使われてない安全な豚肉ということ。

安全でおいしく、しかもさほど高くないSPF豚は魅力ですが、いったいどのようにして作られているのでしょう?

「バイオ技術が生んだ健康豚とでもいいましょうか。もともとは病気になりやすい豚に薬物投与が欠かせない養豚家の年間900億にものぼる損失を救うための研究から生まれました」と、(株)シムコの赤池洋二(専務)さん。

養豚場は無菌室なので取材かなわず、ビデオでその概要を見せてもらって、驚いた。

出産時の産道感染を防ぐため帝王切開で取り出した子豚は、即、無菌室で人工ミルクで育てられ、これが原原種豚になる。その中から、丈夫で体格が良く、性格がおとなしく、乳頭多数などが選別され、人工受精された2代目からは母豚とともに無菌で育ち、これが原種豚。これらの子豚たちが伊藤忠の養豚場で成長すると、養豚家に出荷されるシステムだ。

確かに安全で豚肉でないようなおいしさだが、バイオ技術であそこまで人工的に作られる過程に、複雑な気持ちになってしまった。



[肉類の除毒法1口メモ]@脂身は農薬残留が多いのでまずそこを取り除く。A下準備はゆでたり、湯通しし、レバーは水につけてよく血を抜く。調味料で下味をつけその液を捨てる。B煮ながらアクをとる。(増尾清著「不安な食品とつきあう法」より)



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